【砂漠の星に見る夢】

今日は心地よい風が吹いていたので、窓を全開にし、部屋に風を通していた。


部屋に流れ込んでくる爽やかな風に目を細めながら勉強を続けていると、外から友人達が駆け寄り、窓から顔を出す。


「イシス、イシス、聞いたわよ!
ネフェル王子に花束を渡す名誉ある町娘の一人にあなた選ばれたんですって?」


「悔しいけど納得だわ。この町一番の美女ですものね」


「おめでとう」


友人達は口々にそう伝え、羨望の眼差しを見せる。


イシスは絹のように艶やかな漆黒のストレートの髪にこの界隈では珍しいほど美しい白い肌を持ち、小さな顔の中には通った鼻筋と形のいい唇がバランスよく配置され、何よりくっきりとした蒼い大きな瞳が印象的な、町で評判の美女であり、


両親は生まれたばかりのイシスを見て、あまりに美しい赤子だった為、恐れ多くも女神『イシス』の名前をつけた程だった。


熱くなる友人達を前に、イシスは露骨に顔をしかめる。


「役人が勝手に決めたことでしょう?困るわよ。第一、私、帰還祭に行くつもりないし」



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