【砂漠の星に見る夢】
「何を言ってるのよ、見初められた王妃になれるかもしれないのよ」
信じられない、と鼻息を荒くする友人達の姿を見て、イシスは自分と彼女達との温度差の違いに思わず苦笑する。
「ごめんなさい。私、一夫多妻制の上流階級に興味はないの。結婚するなら例え裕福じゃなくても、私だけを愛してくれる人のところにお嫁に行きたいわ」
そう言って大きな蒼い瞳を輝かせると、友人達は呆れたように顔を見合わせ、肩をすくめる。
「それはそうと帰還祭には行きましょうよ」
「そうよ、楽しいわよ」
「噂によると、ネフェル様は新型の『空飛ぶ船』で帰国されるそうよ」
友人達の言葉にイシスは、どうしようかな、上を向いた後、
「洗濯が溜まっているから、早く終わったら行くわ」
と簡単に答えると、
友人達はまた呆れたように顔を見合わせ「絶対よ」と念を押し、立ち去って行った。