【砂漠の星に見る夢】
洗濯に精を出しながら賑やかだったメンフィスの町を思い出し、町が元気なのは嬉しい、と口許を綻ばせる。
今、エジプトは他の髄を許さぬほど繁栄し、その栄華を誇っていた。
だが憂いが何もないわけではない。いつの世にもあるであろう、宗教紛争……紛争というほど表立ってはいない、所謂、冷戦のような状態が国を乱していた。
そう太陽信仰『ラー』と星信仰『オシリス』。
二つの宗教冷戦は次第に激しくなって来ている。
高度な技術を発明した『オシリス』派の人間が、『ラー』派に言いがかりをつけられ処刑されたニュースが後を絶たない。
スネフェル王がファラオになってから国の雰囲気が芳しくないと囁かれていた。
それと言うのも星信仰『オシリス』派の第一王妃メルサンクと、太陽信仰『ラー』派の第二王妃ヘテプヘレス(以下ヘレス第二王妃)の仲違いからきているのだろう。『ラー』派の第二王妃へレスの傲慢・強欲さは庶民の目から見ても目に余るほどだ。
何より愛息子であるクフ王子を即位させたいが為に、色々模索しているともっぱらの評判だった。
その為、身の危険を感じた星信仰派である第一王位継承者ネフェル王子が外国に身を潜めることになったという話だ。