【砂漠の星に見る夢】

ヘレスは、おお、と声を上げ、クフに抱きついた。


「たかがネフェルが帰って来ると言うだけであの町の騒ぎ!許しがたいことです。まるで王が帰国するような騒ぎではないですか」


憤慨するヘレスとは対称的に、クフは愉快そうに口角を上げる。


「兄上は第一王子です、王と同等であってもおかしくはないでしょう」


「何をお前がのん気なことを!時期ファラオはあなたなのですよ。あんな外国宗教派の王子が次期ファラオなんて許しがたいことです!」


ヒステリックな声を上げるヘレスを見て、クフはまた笑い、


「それは残念。ワタクシは王座なんて興味ありません。たくさんの美しい妻に囲まれ、毎日美味い物を食べ、それはそれはとても幸せでございます」


と胸に手を当てて頭を下げる。


「クフ王子!」


金切り声を上げるヘレスを無視するように、クフは高らかに笑いながら部屋の外に出た。


そのままクフはメンフィスが見渡せるバルコニーに出て、賑やかな町の様子を眺めた。


兄上がいなくなって二年、か。


ああ……兄上が帰って来るんだ。


クフは、ネフェルの姿を思い浮かべ、柔らかく微笑んだ。





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