【砂漠の星に見る夢】

父のエジプト好きは、今に始まったことではない。


そもそも『エジプト好き』なんて可愛らしいものじゃない。


私たちの目から見たら異常だ。執拗なほどに憧れを持っているように見えた。


父の書斎の壁はピラミッドの写真で埋め尽くされ、本棚はエジプトに関するもので溢れ、テレビでの特集や映画も欠かさず観ている。


そんな父がエジプト好きになったキッカケは至って単純なもので、大学時代エジプト人男子留学生と親しくなり、彼にエジプトとピラミッドの素晴らしさを余すところなく伝えられた上、


『コバヤシはエジプトにいても違和感ない顔をしている。きっと前世でエジプト人だったんだよ』等と言われ、単純な父は『そうか、自分はエジプトと縁深いに違いない!』と思い込んだらしい。


私から言わせてもらえば浅黒い肌にクッキリした目、存在感のある鼻という濃い顔立ちの父はエジプトだけに留まらずブラジルや中東とも縁深いのではないか?


と思うのだけど、そんな意見はなぜかちっとも耳に届かない。



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