Special

まぁ、レンにしたらそんなことどうでもいいんだろうけど…。


でもそれと、“独りで生きていく”のは違う気がする。


もっと、もっともっと。
レンは人を愛して愛されるべきなんだ。



「――?」


一人レンのことを想って歩いていると、ジャリッという音のする足元だけを初めに捕らえた。
それは自分の行く先を明らかに塞いでいる。
その足元からゆっくりと上へ顔をあげる。


「―――!」


「終わった?―――由麻チャン」


「ま、マサキ…!!」


そこに居るのは二度と会いたくない男―――マサキが立っていた。


「そんなに急いでどこ行くの?」
「…っ……」
「ああ、レンのとこか」
「どうして、ここが…」
「由麻チャン?ホストはねぇ、観察力と記憶力、洞察力が大事なんだよ」
「……」
「前に学生証忘れてったでしょ?」


相変わらずニヤリと笑った顔で話すマサキの姿は大学前だと目立つ存在だ。
私はとりあえず場所を変える為にその場を歩き出した。


「オレを撒こうとしてるワケ?」
「まさか!そんなの無理なのわかってますから」


なるべく感情を見せないように淡々と答えて、人気の少ない場所を探し歩き続けた。


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