Special
オレの欲しかったものはなんだ。
オレの果たしたかったものは―――。
オレを裏切った女への復讐。
オレをバカにしたレンへの報復。
だから女を騙して、心で嘲笑って、金出させて。
レンを蹴落として、痛めつけて、立ちあがれないようにさせて。
そうすることが全てだった。
それしか頭になかった。
きっとその先にオレの望んだモノが待っているーー。
全部間違いだった。
アイツは――レンは、オレを自分と同じだと言った。
悔しいけど、心から否定できなかった。
オレはアイツで、アイツがオレだった。
そんなレンは、先に前に行っちまいやがった。
隣にいる女を大事そうに、穏やかに。
こんなオレにも最後には手を差し伸べて。
残されたオレには№1の称号と、空虚な心。
だから、ずっとバランスが取れてなかったんだ。
ココに立つオレの意味を。
オレがしたいことはこんなことじゃない。
本当に欲しいものはこんなもんじゃない。
誰か、もう一度、オレを信じさせて。
オレを心から笑わせて―――…