Special

オレの欲しかったものはなんだ。

オレの果たしたかったものは―――。


オレを裏切った女への復讐。
オレをバカにしたレンへの報復。

だから女を騙して、心で嘲笑って、金出させて。

レンを蹴落として、痛めつけて、立ちあがれないようにさせて。

そうすることが全てだった。
それしか頭になかった。
きっとその先にオレの望んだモノが待っているーー。


全部間違いだった。

アイツは――レンは、オレを自分と同じだと言った。
悔しいけど、心から否定できなかった。

オレはアイツで、アイツがオレだった。

そんなレンは、先に前に行っちまいやがった。
隣にいる女を大事そうに、穏やかに。
こんなオレにも最後には手を差し伸べて。

残されたオレには№1の称号と、空虚な心。


だから、ずっとバランスが取れてなかったんだ。


ココに立つオレの意味を。


オレがしたいことはこんなことじゃない。
本当に欲しいものはこんなもんじゃない。


誰か、もう一度、オレを信じさせて。

オレを心から笑わせて―――…


< 195 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop