傍にいさせて
理事長室を出ると、湊くんと渚くんが、全く同じポーズで壁に凭れて待っていてくれた。
鏡みたい…。
「ごめんなさい、ありがとう」
「大丈夫だよ〜、おかえり」
「じゃ、用事も済んだし、教室戻るか」
理事長室に来たときと同様、二人について行き、教室にたどり着いた。
いい加減、校内を覚えよう。
せめて、自分の教室だけでも…。
「夏恋ちゃん、理事長に何貰ったの?」
「教科書とかだって」
「ふーん、勉強すんの?」
「まぁ、何もしてないより、いいかなって…」
てか今授業中だよね?
いくら基本的に自由だからって、先生も来ないのかな……。
「こんな生徒たちだから、センセーたちも暗黙の了承みたいな感じで、授業には来ないよ」
「テストの時は来るけど」
「そう…なんだ…」
「勉強、分かんないとこがあったら、とりあえず職員室に行ってみたら?」
「職員室にはセンセーたちもいるから」
「わかった、ありがとう」
とりあえず、先生たちも大変なんだなと思った