傍にいさせて





―――――……




「すみません、荷物持たせちゃって…」


「気にしないで、夏恋ちゃん」


「そうだよー、女の子にこんな大量の荷物、持たせるわけにいかないからねー」




私が教室を飛び出して、急ぎすぎて下駄箱の所で躓いたり、ぶつかったりしていると、後ろから桐山さんたちが来て、「世話んなるんだから手伝う」と言ってくれた。


桐山さんのお言葉に甘えて、買ったものを五人で分担して持ってもらうことに。



私も持とうとしたけど、宝条さんと桐山さんに、有無を言わさぬ笑顔で止められたので、自分のカバンしか持っていない。


申し訳ないです。




「ねぇ、夏恋ちゃんが料理つくるの?」


「うん、口に合うか分かんないけど…」


「そっか!なら絶対美味しいね!」


「ほんとだねー、夏恋ちゃんのお弁当食べたから、味は保証付きだね」




湊くん、相楽さん…そんなに褒めても何も出ませんよ…。



でも、何か認めてもらえてるみたいで嬉しいな……。



赤くなっているであろう顔を隠すために、少し下を向いて歩く。




「どうした夏恋?具合悪いか?」


「き、りやま、さん…えっと、大丈夫、です……」




下を向いてたら、それを心配したのか、桐山さんが顔をのぞき込んできた。


顔、近い……。



どうしていいかオロオロしていると、宝条さんから声が上がった。




「汰斗、早く行かなくていいのか?」


「ん?…あぁ、そうだな」




宝条さんの言葉を聞いて、思い出したように声を発して、私から離れた。



ふぅ…よかった…。


あのままだったら、私キャパオーバーで倒れてたかも…。




気がつくと、もう家の前まで来ていた。




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