傍にいさせて
「夏恋ちゃんの驚く顔が見たかったから、みんな言いたかったけど、1日我慢したんだよー?」
「べつに俺は我慢などしてない」
「俺も、つか親父たちが流れで決めたもんだろ」
「二人とも相変わらず冷たいなぁ」
どうやらみんな知っていたらしい。
私だけのけ者……。
てゆうか、自分の家で起こることなんだから、私は知ってて当然だと思うんだけどなぁ…。
絶対お母さんもグルだったんだ。
悶々と考えていたら、ふと別の考えが浮かんだ。
15、6人前の材料……。
桐山さんのお父さんたち……。
もしかして、みんなのご両親が来る…とか?
じゃないとこんな材料にならないだろうし……。
「大変!早く買い物して、ご飯作らなきゃ!」
ひとつの考えにたどり着いたら、私は半ばそう叫んで、カバンを引っ掴んで教室を出た。
「えっ、ちょ…夏恋ちゃん!?」
「夏恋って、変なとこで運動神経いいよな」
「普段はからっきしなのにねー」
「俺たちも行くぞ」
「ほんと、あいつって見てて飽きねぇな
…よしお前ら、夏恋んとこ行って手伝うぞ」
私が教室を出た後で、こんな会話がされていたなんて、私は知らなかった。