戸惑いの姫君と貴公子は、オフィスがお好き?―特別編―
「おはよ」
ある平日の朝、いつものように息子を抱いてパジャマ姿で向かったリビング。
授乳とオムツ替えを終えた奥さんが朝食準備をする間、ベッドで子供と触れ合うのが毎朝の大切な時間だ。
元気な息子をベビー用チェアへ落ち着かせると、俺も隣の椅子を引いて席に着く。
「ぱっぱ」とすぐに呼ばれ、ことばを話すようになった我が子に微笑む。
目元は俺にそっくりだが、全体の雰囲気は彼女に似ている。それがなおさら愛しさを募らせるのだろうか?
すると向かいの椅子をカタン、と引く音が静かなリビングで鳴った。