恋愛トライアングル
「アツってさぁ、朝練とかないの?」
前を歩く少し細身な背中にアリがきいた。
アツはチラッとこっちを見ると、すぐに前に向き直った。
「眠いからパス」
私とアリが目を合わせ、小さくため息をつく。
「一応アツはレギュラーでしょ?」
「だって先輩が弱いもん」
「あのねぇアツ。先輩のことそういうふうに言ったら罰当たるよ?」
「そうそう」
「大丈夫。翔(しょう)が俺の代わりに参加してるから」
アツの言葉にドキッとした。
言った本人は、私のほうをニヤニヤ笑いながら見ている。