欲張り
 振り返ると、バーで会った女が俺をみつめている。

「君に会いたかった」

「どうして?」

「抱きたいからだ」

「だから、ここに来たの?」

「あぁ」

「死にたいと思ってる人が女を抱けるの?」

「できるさ。君もそうだったろ」

「わたし?」

「君も泣いてた」

「よくある失恋をしただけよ」

「充分な理由だ」

「会いたくて、抱きたくて、そして死にたいの?」

「あぁ」

「あなたって欲張りね」

「そうかもしれない」

「また会えるような気がしてた」

 

 あの夜、抱かれたのは俺の方だ。

 俺の目の前にいるしっかりと生きている女を抱きたくてたまらない。

 今、確かに俺は生きている。






 END
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