スウィートレッスン〜運命の相手は…幼なじみ!?〜
それから少しの間、難しい顔をして考えた後
ママは重たい口を開き、当時あったことをゆっくりと話してくれた。
「加奈子はね、離婚をして…ダイちゃんを連れて実家の北海道に戻ったの」
「えっ…」
「ヒナはダイちゃんのお父さんをほとんど見たことないでしょ?」
言われてみると、顔も思い出せないくらい記憶のカケラも残ってなかった。
あんなにダイちゃんの家にいたのに、ダイちゃんのお父さんはいつも家にはいなくて…あの海にも一緒に行ったことがない。
「ひどい人だったの。浮気をしていて…たまに帰ってきたと思ったら、加奈子とダイちゃんに暴力を振るって…」
ママの目尻に涙が姿を現そうとしている。
「……嘘でしょ?」
「嘘じゃないわ。全部ホントよ。昔、ダイちゃんの足に痣を見つけて、本人に聞いたこともあるもの…」
「そんな…ひどすぎるよ」
「ずっと…加奈子とも連絡が取れなくて 私も心配してたの。今日、久し振りに元気そうな顔を見て安心したわ。こっちにちょっと用事があってきたとか言ってたわ」