ペット化宣言

「助けて欲しいのはその脳内構造か?」



何度逃げだそうとしても、ドアの前には兵士たちが何人も見張っているし、お城の塔の部分の部屋だから窓からも逃げられない。

私の前に、本当のお姫様が何回も色々な方法で逃げ出したようで、ありとあらゆる脱出手段が塞がれていた。


そのため部屋から出ることが出来ず、何度目かの朝に王様に呼び出された。




「ユリよ。いよいよ明日が結婚式だが準備は出来ているか?ハリー王子も今日の夜にはこちらに着くそうだから、しっかりと明日に備えておくんだぞ。」



け、結婚式ってそんなに急に行うの!?
私偽物なのに!

「あ、あの、ですから私はユリさんではありません!ただの中学3年生です。」

「………そんなに結婚が嫌なのか?」


逃避だと思われてるよね!?
結婚とか嫌だ。でも勝手に嫌だなんて言って良いのかな……。
お姫様が逃げ出すぐらいなんだし、きっと相当嫌なんだろうな。


勝手に代弁良いものかと口を噤む。
その様子を、私が不満気なのだと判断した王様は必死に説得してきた。





「ユリがこの結婚をしてくれるおかげで支援が受けられるんだ。そしたら私たちも町の人たちも皆幸せになる。だろ?それにハリー王子は才色兼備で裕福で、何より礼儀正しい。私はね、ユリに幸せになって欲しいんだよ。」


お父さんの顔で、声でそんなこと言われたらどうしようもなくなるじゃない。

溢れ出そうになる涙を堪えることに必死で、私にはこれ以上反論することが出来なかった。






.
< 100 / 200 >

この作品をシェア

pagetop