ペット化宣言


「ミチさんはどうなったんですか?……それに、どうして崎坂さんはこの世界に帰って来たんでしょうか…?」



「ミチは僕に記憶を移したことで、命が尽きてしまったみたいだった。巫女としての禁忌の術らしかったから………。
それに、ミチは湊斗の呪いを知ってからすぐ魔女に願いに行っていたんだ。湊斗の呪いを解いて貰えるように。でも、呪いを解く願いは聞けないと魔女に言われたミチは、湊斗の呪いが発動する日、僕だけは助かるように、元の世界に帰して欲しいと願ってくれていたんだ。
そして、この世界に戻ってきた僕はミチの記憶を頼りにこの絵本を書き上げた。
呪いを解いてくれる人がもしこの世界で生まれたとき、湊斗を助けてあげて欲しいと伝えるために。」




「そして、ついに見つけたんだ。…………本当にありがとうっ!」




ぎゅっと握っていた私の手をさらに強く握る。
何度も繰り返してありがとう、と言ってくれる崎坂さんに、私は唇を噛みしめて言った。




「私じゃ、ないと思います……………。」



噛みしめた唇は、血の味がした。





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