逢いたくて
私と渉は産婦人科にきている

あたりにはお腹の大きな妊婦さん

旦那さんといる人もいる

次々に名前を呼ばれその度にぴくりと反応してしまった

緊張する

渉はそんな私にいち早く気づいて手を握っていた

「咲。緊張しすぎ。ふるふるしてるぞ?」

「…なんか思い出しちゃって…」

私はこの場所にくるのは2回目

そう

初めての妊娠の時

さよならするときは病棟だったから

ピンクをモチーフにしたリラックスする雰囲気の待合室は2回目

その時の気持ちも鮮明に思い出す

「先生に言って俺も入る?」

「うんん…」

渉は医者だけど毎回一緒に診察室に入ってもらうのは難しい

ならばと渉には断った
< 122 / 204 >

この作品をシェア

pagetop