逢いたくて
「咲」

「わっ!!」

渉が寝室の扉を少し開けて見ていた

「いつからそこに?」

「今…。なんで起こさないんだよ」

「え…?」

「いつ起こしてくれるか期待して待ってたのに。いつまでも起こしてくれないから来てみれば…ココア飲んでくつろいでるし…」

明らかに渉はすねている

「ごめん…」

「お腹が張ったときは横にならないと。それからちゃんと温めるんだ」

ソファに座る私を後ろから包むように座った渉は毛布をお腹にかけてくれた

「がちがちだな」

お腹に触れた渉の手から温もりが伝わる

優しくさすってくれるリズムが心地好くなり渉に体重を預け目を閉じた

不思議とかんかんに張っていたお腹も落ち着いてきた

「パパが好きなんだなきっと」

「ごめんね…。迷惑かけて」

「咲。同じことをまた言ったら怒るからな。お腹の子は俺の子でもあるんだ。もう愛情がめばえてる。咲じゃなく妊娠中のできごとは俺たちの子のサインだろ?俺にもそのサインを味わせて欲しい。」

「…渉」

「ずるいよな~。一心同体でいられる咲はさぁ~」
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