逢いたくて
さよなら

予感

「咲。ちょっと出かける。」

「え?」

電話を切ると渉は曇った顔で私を見た

「親父が倒れた」

「…へ?」

全身に電気が走ったかのように動揺する

「咲。一緒に来てくれないか?」

「…うん…」

いいようのない不安に包まれる



私たちはすぐに支度をした

寒くないようにと渉はこんな時でも私に気遣ってくれたけど



不安が見える…


「渉」

「ん?」

赤信号で車がとまったとき私は渉の左手に右手を重ねた

「……」

なんて言ったらいいかわからない…

大丈夫…とも言えないし

がんばるも違う

こんなときにぴったりの言葉が言えたらいいのに…

「ありがとう」

忘れてた

渉にはテレパシーでなんでも伝わるんだった

ありがとうと言って微笑む渉は優しかった
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