逢いたくて
「咲ばっかりずるい!」

ぷんぷんしている渉

あれからずっと私のお腹に触っている

仕事はいいのかきいても聞こえないみたい…

私のほうが焦りだす

「なんでだ?照れるなちび~」

胎動を感じられなかったのが悔しいみたいで聴診器を耳にあてたまま赤ちゃんに動け~と語りかけている

泣きじゃくった私を放っておけないという理由もあると思う

「渉…」

「ん?」

「わたる~」

「ん?」

「わたるぅ~」

「ん?」

「わ~た~る~」

「ん?」

何回呼んでも必ず返事してくれる渉

目線はお腹から動かないけどその声は優しい

「ちゅうして」

ちゅっ

触れるか触れないかの短いキス

すぐ目線はお腹へ行く

「もっかい」

ちゅっ

渉の優しさに触れる度、前に進める気がした
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