逢いたくて
「勝手に抜け出してごめんなさいっ!ちゃんとできなくてごめんなさいっ!私…私…ごめんなさいっ!」

「咲、落ち着け」

「嫌いにならないで!ごめんなさいっ!」

「嫌いにならないから!だから落ち着け」

渉は私をベッドに運んだ

寝かされた体を起こして渉にすがりつく

「嫌いにならないでっ!」

「咲…」

「ごめんなさいっ!ごめんなさい渉…」

「嫌いになれないんだよ…」

「へ?」

弱々しい渉の声

「なれるわけないだろ…。俺こそごめん。怒鳴るべきじゃなかった」

「……」

「行きた心地がしなかったよ…咲がいなくなって。怖かった…。足が震えてうまく走れなかった…。目の前で冷たくなって意識を失った咲が目覚めるまで怖くてたまらなかった」

「渉…」

「頼むから勝手にいなくならないでくれよ…」

今の私にはすごく響く言葉だった…
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