逢いたくて
目を開けるとピンクの壁が目に入った

「…き?……咲?」

なんども瞬きを繰り返しあたりを見渡すと意識がはっきりとしてきた

「咲?」

「わ…た…る…」

口がうまく回らない

「わかるか?」

「うん」

「なんと3825gのビックベビーだったよ。あれには取り上げた俺もびっくりした」

無事生まれたんだ…

ほっとしたのとあの痛みから解放されたのとで涙が溢れた

渉はすぐに涙を拭い頭を撫でてくれる

「頑張ったな。焦ったよ胎盤剥離して大量出血したとき。でも赤ちゃんがあんなに元気にうまれてくれて…感動したら焦りも心配も吹き飛んだ」

無邪気に笑う渉

「大変だったな咲。」

「会いたい」

「おっけー。連れて来る」

渉はなんだかもう父親の顔をしていた
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