逢いたくて
「ほら、ママだよ」

渉の腕の中にいたのはまぎれもない私たちの赤ちゃん

赤ちゃんの足にマジックでかかれた

『西崎咲』

の名前にくすぐったさを感じる

うすいピンクの服を着た赤ちゃんはうまれたてと思えない大きさでしわもほとんどなかった

「立派だろ~。ここ半年の記録をぬりかえる体重だってよ」

私の腕に渡された赤ちゃんはまだ目があいていなくてでもあったかくてずっしり重い

「はじめまして」

「名前…優しいに歩くでゆうとってどうかな?」

「ゆうと?」

「あぁ」

私の腕の中ですやすや眠るゆうとに渉は優しい目を向ける

「咲の人生も俺の人生も、きっとこの子の人生もまっすぐなんていかない。いいこともそうじゃないこともいっぱいあると思うんだ。でも、ひとつひとつに意味があると思う。」

「うん」

「この子がうまれて俺はやっとわかった気がするよ。今まで俺が歩んで来た人生の意味が。咲とこの子に会うためだったんだ。きっと。」

「うん」

なんだか嬉しくて涙が出る
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