逢いたくて
「こらっ」

私は点滴の管を引き抜いてがむしゃらに起きようとした

「ちょっ!なにしてんだよ。咲っ!」

渉は私の腕を慌ててつかむ

「ハァ…ハァハァいハァ…やだ」

ちょっと動いただけなのに呼吸が驚くほどみだれる

「なんで?」

両方の腕をがっちりと掴まれたまま力を抜いて渉の肩にもたれかかった

「ハァハァ…かえろ?ハァ…」

「……」

病院で勤めはじめてこのツンとする消毒液の臭いにはなれた

でも

いざベッドに横になれば思い出す








赤ちゃんとさよならした日を
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