逢いたくて
譲としばらく抱き合っているとあたりが暗くなりはじめ急に寒さを感じた

「風邪ひいちゃうな」

そう言って身体を離した譲の顔には頬に一筋の涙のあとがある

無意識に涙のあとを撫でていた



「咲にひとつお願いしてもいいか?」


「ん?」


「明日転院するのは午後なんだ。だから午前中の時間を俺にくれない?」


少し

渉のことが頭に浮かびながらも私は頷いた


悩む時間だって…

今の譲にはかけがえのない時間なんだから…
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