付き合ってるのよ?
ようやく着る服を決めて、階段を駆け下りた。


そろそろ綾乃が来る時間だ。


あれ?

姉さんが玄関の前に立っている。

なにやってんだろう?

「…………んだけど?」


姉さんは言った。


綾乃に信じられない言葉を。

後ろ姿しか分からない、姉さんは今どんな表情で綾乃を見ているだろう?

綾乃は首を傾げて、悲しそうな顔をしている。


俺は無神経だけど、けして鈍感なわけではない。


多分、綾乃は姉さんの言ったことは聞こえなかったけど、姉さんに嫌な態度をとられて、どうしたらいいか分からないのだろう。


俺は姉さんに声をかけた。


「姉さん。何やってんの?」


姉さんは、俺が声をかけたとたん、パッと表情を変えて、駆け寄ってきた。


その瞬間、綾乃の表情が一変した。


「綾乃?」


「……へっ?」


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