カサブランカにはなれない

10.頭痛の日々

私はまた頭がずきずき痛くなってきた。
最近、また体がとても弱くなった。
とにかく疲れやすいのだ。基礎体温がとても高い。毎日夜に計ってみるのだが
常に三十七度はある。
仕事が休みの日に、微熱があまりに続くのでちょっと不安になった私は、
仕事先の附属の病院の内科に行った。
女性の先生で、おとなしく、優しそうな感じのする人だった。
私は前から見た事があってこの先生を知っていた。この先生なら診てもらいたいと
思ったのだ。大きな病院だからおそらく彼女は私の事は知らない。
彼女は私に一通り質問をした。やはり私の事は知らないようだった。
「どうしましたか?」
「・・最近体の調子悪くて。風邪のような感じがずっと続いているんです。」
「そうですか。・・・ちょっと失礼しますね。」
ヒンヤリ冷たい手で私の首をやさしく触った。
「・・・甲状腺が結構はれていますね。」
「・・・え??」
私は甲状腺と言う言葉を知らなかった。不安になり恐くなった。
先生は顔色を変えずに私の方を見ながら言った。
「・・・ホルモンのバランスも崩れていませんか?」
そういわれてみると、二ヶ月ほど生理が不定期に来ていた。
「・・・はい。・・・あの、どういう病気なんですか?」
「ホルモン過剰になっているのだと考えられています。女性の方が男性の2、3倍多くみられるんですけどね。

寒気がする時期と、急激な発熱を伴う発汗期を経験することもあります。元気がなくなってぼーっとするような症状もあります。
思考力低下、記憶力や理解力、判断力が低下したり、抗うつ状態や幻覚、妄想などの
精神症状もあります。思い当たりますか?」
全て当てはまっているように思った。
< 145 / 201 >

この作品をシェア

pagetop