束縛+甘い言葉責め=溜息

 子供の黄色い声で目が覚めた。

 寝付くのに数時間かかったせいで、まだ寝たりないが、「ただいま」を言ってやらないと、と思い、首を回しながら、下へ降りて行く。

「おかえり」

 先に子供に声をかけてから、玄関で靴を並べる真紀にも「おかえり」と声をかけた。

「…………」

 だが、彼女は何も言わず、ちらとこちらを見ただけで靴を並べ続けた。

「……真紀さん、おかえり」

 俺は負けじと、同じことを繰り返す。

「…………ただいま」

 真紀はようやく答えた。

 だが、隣をすり抜け、すぐに中に入ってしまう。

「髪、切ってないよね?」

 一番不思議に思ったことを聞いた。

「……やっぱりやめたの」

 こちらを見ずに答える。

 忙しそうにバックを片付けるとすぐにキッチンに入り、夕食の準備にとりかかる真紀の隣で俺は問いかけた。

「真紀さん……ちょっと来て」

「今忙しいの」

 こちらを見ずに返される。

「少しでいいから」

 少し強めの口調で言った。

「みんなお腹空いてるの」

 無理強いはしたくない。だが、あまりにも理不尽な態度をとられたので、水道で洗う手を掴んだ。

「ちょっと来て」

 水道も出しっぱなしに、強引に引っ張る。

 子供は大丈夫だ。長男がテレビをつけ、そちらに夢中になっている。

「何? ご飯してるの」

 苛立ちを隠そうともしない真紀はそう怒りを表したが、俺は構わず、和室へ連れ込んだ。

「髪も切らずにどこにいたの?」

 優しく、問いかけながら、顔を触る。

「どこでもいいじゃない」

 真紀はそっぽを向いたまま答えた。

「浮気してたら、ただでは済まさないよ」

 ある程度覚悟して聞いた。

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