彼氏くんと彼女さんの事情
「綾香は彼氏いないの?」
半ば話を逸らすように質問すると、少し困ったように笑い綾香が答えた。
「いないよー。最近、好きだった人に告って、振られたんだ」
「え、うそ!?」
驚いた。だってまさか、綾香が振られるなんて。
人形のように可愛い綾香は中学の頃、男子にモテモテだった。
「どんな男よ、綾香を振るなんて。私が絞めてあげる!」
私がそう言うと、綾香は苦笑いした。
「あはは、ありがとー。でもしょうがないの。あっちには彼女いたのに、勝手に一目惚れしちゃったんだから」
「そうなんだ……」
悲しそうに笑いながら言う綾香に、なにも気の利いたことが言えなかった。
「あ、じゃあデート中にお邪魔だし、行くね。バイバイ」
「あっうん…。バイバイ」
手を振りながら友達の下へ帰っていく綾香を、ぼうっと見つめていた。