ピアス
「クリフ隊長には妹さんがいらっしゃるんですが」
 ピエールはどこかいいずらそうに言った。



「気にするな、言え」
 クリフは怒気を強め言った。

 

 長い沈黙の後、「殺されました」とピエールは俯いた。


「それで理性のコントロールが不能に陥り、クリフ隊長は暴走し、こうして日本という国、つまりは別世界へ飛ばされてしまったのです」


 ピエールのその話を聞き、おぼろけながらクリフは記憶の断片が蘇った。

〝お兄ちゃん、いや、いや、死にたくない〟〝ミアァァァァ!!!!〟

「ミアは喉を掻ききられたか」
 クリフは言った。
 


 
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