願い事、ひとつ
いつもの夜のはじまり

夜中1時に携帯が震える。
見なくてもわかる。彼だ。

メールを見ると、『いまから行く』の一行。これもいつものこと。

私は乾かした髪をひとつに縛り、簡単な部屋着に着替えた。色気のないスウェットの上下。
酒とつまみは買ってくるだろうから、特に用意はしなくていいはずだ。

それから軽く部屋を片付けていると、小さくノックが聞こえた。
こんな非常識な時間に来訪するわりに、小心者らしい。

「よう」

低い声が頭の上から降ってくる。
私は視線を合わせないまま体をずらして招き入れた。
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