仮面
「・・あまり時間はありませんが、それでも良かったら」          



 女はそんな前提を置きながらも、渋々市川の要望に応えた。



 ただその表情は明らかに嫌がっていて、事件が事件なだけに市川を若干困らせた。




「ありがとうございます。ここではなんですから、近くの店にでも」




 市川が恐る恐るそう言うと「構いません」と女は口にし、そば屋がある方の階段に足を進めた。
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