タイムストッパー
「あれ、千紗くんも田久万くんが時間を止められるの知ってたんだ、へぇ。やっぱり……」

 大口は独りで納得したように首を何度も振った。

「勝手に納得するな!」

「これは田久万くんの自作自演だよ」

「そんなことはない!」

「音楽の授業が始まるのに、千紗くんが気になるから、ずっと待っていたんだ。それでちょうど遅刻してきた千紗くんがタオルを持っていたので、盗ろうと思ったが、素直に頂戴って言えないから、時間を止めて、タオルを盗んだに決まっている」

「やっぱり、お前の推理はおかしいぞ!」

「時間を止められるが、タオルは盗ってないよ」

「時間を止められるから、盗ってどこかに隠したのだろう」

「それじゃ、どこかに隠したか当てろよ」

「それは無理だね」

「何で?」

「例えば、あそこにあると言えば、時間を止めて違う場所に移動しちゃうだろう?」

「話にならん!」

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