隣人M
過去と夢の狭間で

ここまでの登場人物紹介(ネタバレあり)

*克己の夢の世界*

一兵士が夢見た、かなわぬ世界。平凡な日々、バスケットボール、仲良しの親友、存在を意識し始めた幼なじみ……。それは、彼にとって、全てだった。


「結城克己」(302番)


現実世界の結城克己(24歳)が精神の中に作り出した世界に生きる、もう一人の克己。16歳。もっとも幸せである状態の具現化と思われる。彼を消さなければ、現実世界の克己はいつまでも精神が崩壊した状態で、世話を受け続けねばならない。そのため、医者たる椎名とその助手の夕夏が、彼を始末しにやって来た。椎名がつけた、病原としての番号は「302番」。


「神楽夏彦」(16歳)

夢の中の存在。バスケ部の花形シューターだったのは、現実世界の椎名の存在が、克己の記憶に残っていたためであった。夕夏を守って負った腕の「傷」が、椎名と彼の共通項である。


「水町夕夏」(16歳)

勝ち気な少女。しかし、現実の夕夏には彼女の存在が許せず、椎名の制止も聞かずに、始末されてしまった。その際に、夏彦が傷つく。紅茶が好き。


「山口あすか」(16歳)

夕夏の親友で、女子バスケ部のマネージャー。彼女からの電話がすべての始まりだった。


「隣人M」

克己のマンションの隣の部屋の人物。男か女かもわからない。ある日克己が、この存在について疑念を抱いたことから、物語が始まった。最大の謎ともいえよう。Mとは何なのか?それがわかったとき、ストーリーは終局へ走る。


*現実世界*


長い戦争が終わり、人々は、二度と戦争という呪わしい経験をしないため、争って心療手術を受け、「完璧」な人間になろうとした……そんな世界に生きる仕事人たち。


椎名和馬(24歳)

心療外科医。元の名前は神楽夏彦。克己の治療を担当。克己とは、戦友で仲がよかった。克己の精神の中では、マンションの管理人を務めていた。腕に、かつて夕夏を守った際の傷痕が残っている。紅茶を好むらしい。


水町夕夏(24歳)

心療外科技師。椎名の助手を務める。克己から昔もらった銃を大切に使い続けている。常に「完璧」にこだわるが、それは彼女が椎名が執刀した心療手術に失敗したため。克己とは幼なじみ。克己の兵役義務が切れた日に、シャンパニオン公園で再会する約束をしている。


結城克己(24歳)

精神の中にもう一人の「幸福な」自分が住む青年。今は椎名の庇護下にある。


山口あすか(24歳)

椎名の秘書。心療手術の経験があり、椎名が執刀した。いかにも典型的な「完璧」な人間で、秘書の仕事もそつなくこなす。


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