お仕置きゲーム2
「っ!」
疾風は自分を拘束している人物の足をおもいきり踏みつけた。「いっ!」痛そうな声が響いたと同時に離れ距離をとり、荒い呼吸を繰り返しながら空ともう一人を睨みつける。
「痛いなぁ、メグ。」
聞き覚えのある声にぞくりと背筋が凍った。ばくん、ばくんと心臓の音が大きくなっていく。
「宇野、博隆...。」
「うれしいなぁ、覚えていてくれたのかい?」
忘れたくても脳にこびりついていて忘れられないだけだ。そう思ったが口にはださずにぐっと堪えて一歩ずる距離をとっていく。はじめて宇野博隆に会った時は、自分を受け入れてくれる唯一の人間だと思い気を許しそうになったが智香の話を聞いてからは恐怖しか感じない。
「兄貴、逃げるの?」
「空、お前、こいつと関わるな。」
「それは無理だよ、俺の目的が達成されるまでは離れられない。」
「目的?」
「兄貴には関係ないことだから。それに、俺、暫く家を出て宇野博隆のところにいくから。母さんにはちゃんと言ってあるし。」
待って、現状を把握しきれない。戸惑っていると空はにっこり微笑み右手を差し出してきた。
「メグミも一緒に行くんだよ。」
「俺は、メグミじゃない!」
「メグミだよ。」
今度は、宇野がそう答えた。冷や汗が頬を伝って流れ落ちる。手足が震えて、思うように動かない。