お仕置きゲーム2
逃げろと脳は訴えているが体は言うことを聞かなかった。一歩ずつ縮まっていく距離に泣きそうになる。
「メグミ。」
「ッ、や、だ」
「メグミ、メグミ。」
「く、くるな!」
「愛してるよメグミ。早く物語に沿ってくれないかい?」
「ッ、」
宇野博隆との距離はわずか3メートル。狂気に満ちた瞳の中にはしっかりと自分がうつっている。
「兄貴、早く宇野博隆の手をとってよ。何?嫌われてもいいの?」
「、」
嫌われたく、ない。それだけは嫌だ。
そういう意味をこめて首を左右にふれば空は満足そうに笑う。
「なら、来るよね?」
距離はさらに縮まり、宇野博隆は目の前に立ち疾風に向かって手をさしのばした。(怖い)現実から逃避するようにぎゅっと目を綴じた瞬間、誰かにぐっと左手をひかれた。
突然のことに転びそうになったがなんとか耐える。そのまま引っ張られるように走り出す。恐る恐る目を開くと、そこには数日前に会ったばかりの包帯だらけの佐藤真咲がいた。
「ッ、え?」
「何、してンだよ。とっとと逃げろよ馬鹿。」
「佐藤、どうして、」
「メグミ!?どうして君が!?まだ歩けるようになるまでに一か月はかかるはずなのに!!!君はまだシナリオにはでてきちゃだめなんだ!!」
慌てた様子の宇野博隆を無視し、疾風と真咲は家と家の間の細い道を通り大通りを目指す。ひとどおりの多い場所へでてしまえばこっちのものだ。