似非恋愛 +えせらぶ+

 温もりが離れるのは寂しかったけれど、安心した。

「おやすみ、斗真」
「おやすみ、香璃」

 別々の布団に入り、私達は眠りについた。



 過去の想いを吐き出すことで、私は1つ心の整理ができたと思う。
 次は、今の私の想いと向き合って、整理しなくてはいけない。

 本当は、怖い。

 今の自分の想いと向き合うのは、自分の醜さと向き合うことだから。
 きっと、自分が目を背けてきた弱さと、汚さと、全部に向き合わなくちゃいけないから。

 傷つくことが怖くて、逃げてきた感情に、向き合わなくちゃいけないから。


 きっと痛いだろう。
 きっと辛いだろう。

 私は過去にもその痛みを経験してきたから知っている。
 知っているからこそ、今まで逃げてきたんだ。

 だけど、このままでは私達に未来はないから。

 本当は私だって、幸せになりたいから。

 由宇みたいに、好きな人と結婚して、子供を産んで。
 そんな人生を諦めたくないから。

 だから、私は、前に進む。
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