似非恋愛 +えせらぶ+

「こういうの、子供の頃ぶり」
「俺も」

 小城君の言葉に、私はからかってみたくなる。

「他の女の子とも来てるんじゃないの?」
「もう、篠塚さん、いじりすぎじゃない? 来てないってばー」

 笑いながら否定する姿も、可愛い。

「あ、ほら始まるよ」

 お姉さんと一緒に巨大なセイウチが出てきて芸をする。そのたびに拍手と歓声が会場を包む。

「あの子、ドヤ顔してるように見える」

 芸をするたびに、見せつけるような表情を見せるちょっと人間らしいセイウチが可愛い。

「本当に、賢いね」
「たくさん練習したんだろうな」

 セイウチたちが手を振ってその場を去ると、イルカたちがプールに登場した。お姉さんの合図に合わせて、華麗なジャンプを見せる。

「わあ、タイミングぴったり」

 私達はイルカたちの水のショーに夢中になってはしゃいだ。こういうのは、いくつになってもいいものだと実感した。
 ショーが終わって、会場を後にする。

 周りの人たちも興奮気味にショーの感想を言い合っていた。

「凄かったね」
「ほんと、来てよかった。誘ってくれてありがとう」

 お礼を言うと、小城君は微笑んだ。
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