似非恋愛 +えせらぶ+

「ん、どうした」
「いえ、こうしてゆっくり話したこと、再会してからなかったかな……って」

 斗真が目を細めて笑う。

「お前は昔から俺とまともに話してなかっただろうが」

 そう言って私の頭をなで、髪の毛を梳く。


 昔は、斗真のことが好きで素直になれなかった。由宇のことが好きな斗真に、近づけなかった。
 今は、こんな複雑な関係になってしまって。

 昔の私は子供だった。でも今の私は大人になっていろんなことを経験したんだ。

< 98 / 243 >

この作品をシェア

pagetop