舞い散る花の導く先に
ふわり


ふわりと花が舞う。

私はそっと、その花を手に取る。

「綺麗・・・・」

まるですべてが夢のような美しさ。

私はそっと手の平の花びらを離す。

するとまた、ふわりと舞い散り落ちていく。

「・・・・現世ではあなたはどこにいるかしら?」

ずっと私が探している人。

信長様・・・・

「呉羽様!!(くれは)稽古お願いします!!」

侍女に呼ばれて私は振り返る。

「あ、はい。」

すこし名残惜しい気持ちを残して私は屋敷へ入る。

そう、私は前世の記憶があるまま今を生きている。

私の前世は、蝮の娘と呼ばれた濃姫。

帰蝶とも呼ばれていた。

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