大人的恋愛事情 SS
 
コートを脱ぎ出すので、絡めていた腕を離しテーブルに置かれるリボンの掛かるケーキの前に座る。


「別に言うほどの事もないかと思って……」


「誕生日が?」


「だって、もう28になるし、祝ってもらうような年齢でも……」


「年齢関係あるのか?」


軽く聞かれて、まあ関係ないといえば関係ないような気もする。


そうじゃなくて、言い出すタイミングの問題だっただけで。


「これ、いつ買ったの?」


今は仕事帰りだし、この部屋に置いてあるということはいったい、いつ買う時間があったのかと思って聞くとネクタイを外しながら軽く答えられる。


「妹だよ、昨日どこのケーキが旨いのか聞いたら、私が買っておいてあげるとかなんとか言って、やけにテンション上がってた」


妹って……。


テーブル前で座りながら、まだ立ったままの藤井祥悟を振り返ると困ったように笑っていて。
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