大人的恋愛事情 SS
「言っとくけど、シスコンとかじゃねえからな」
「そうなの?」
少々疑わしい感じがするので、そう聞くとワイシャツのボタンを外しながら私を見おろす。
そんな何てことないはずの動きなのに、やけに色気ある仕草に見えるのは、きっと藤井祥悟だからで……。
「繭に会いたがってた。俺と二人兄妹だし、姉が出来る事が嬉しいみたいで、指輪買いに行った日からずっと会いたいって言ってる」
シャツのボタンをいくつか開けた藤井祥悟が、そんなことを言うのを聞きながら、酔っているせいなのかちょっと泣きそうになる。
だって幸せな気がして……。
そりゃあ結婚するって事は、そういうことなのはわかっているけど、家族になるって事を改めて実感した気がして。
「私も……」
「ん?」
「私も会いたい」
「何で泣いてんだ?」
「わかんない……、幸せだと思って……」
そう答えた私に、幸せをくれる男が少し呆れて呟いた。
「やっぱ酔ってるだろ」