大人的恋愛事情 SS
 
「そうなんだ、佐野さんもそうだったなんて、なんか意外な気がします」


「そう?」


「そうですよ。ここだけの話ですけど……」


そう言う森君が悪戯な笑みを見せ、内緒ごとでも告白するように一歩私に近づいて小さな声を出す。


「偉そうなだけの上司より、佐野さんの方が断然、仕事出来ますから」


若い子特有の無邪気さで、そんな事を言われて、単純に可愛いと思えた少々酔っている私も、森君に歩み寄る形で小さな声で返す。


「それ誰のこと?」


「例えば部長とか?」


悪戯な声を出し部長を引き合いに出すので笑えてきて、近い距離になった森君を見上げると……。


「繭」


後ろから聞きなれた声で名前を呼ばれ、視線を森君に向けたまま一瞬固まった。


「藤井さん……」


私より先に視線をそちらに向けた森君が、思わずといったように呟く。


どうしてここに?
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