【完】甘い生活~危険な幼なじみに溺愛されて~【上】p356まで加筆済
私に気付くと、クルッと、まるで用意さ
れていた仮面を着けたかのように笑顔に
なった朝田君。
だけどその笑顔はどこか冷たくて、偽物
っぽくて。
心の底からの笑顔じゃないって、わかっ
たから。
ズキン、と胸が痛んだ。
「あの……。明日、委員会あるから。ほ
ら、体育祭の……」
──ああ、違うでしょ馬鹿。
「どうかしたの?」って一言、聞くだけ
で良かったのに私の意気地無し。
結局口から出てきたのは、こんなどうで
も良いこと。
「へぇ、そうなん?全然聞いてへんかっ
たわー。あかんな、こんなんじゃ。教え
てくれて、ほんまありがとな」
「あ、ううん……」
会話、終わった。
別にいいのに。
それでいいのに。
それなのに、どうして私ったら。