天神学園高等部の奇怪な面々34
しかし、刺突を受けた十牙はマットに沈んだ。

切っ先僅かとはいえ、川蝉で刺されたのだ。

ダメージがない筈がない。

致命傷には程遠いが、立っていられる傷でもないのは事実。

「……」

呼吸を荒げながら、翡翠は倒れた十牙を見下ろす。

「感服したぞ、紅月…しかし、俺にはまだ及ばず…」

「へっ…」

傷が痛む。

だが心地よい疲労感に身を委ねながら。

「参りました…翡翠先生…」

十牙は笑みを浮かべた。

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