不良だらけの危険なバイトッ☆
軽い口調に思わず身構える。
「服部さん!!」
あたしが名前を呼ぶとニコリと微笑んでこちらへ歩いてくる。
ポケットに手をつっこんだままあたしを見下ろす服部さんはすごく楽しそうだ。
「いやあ、二人の王子様に言い寄られてお姫様は誰を選ぶんだろうね」
「いつから見てたんですか!?」
「さあ。ユキに水でも持ってってやろうかと思ったらすごい動揺した顔で部屋を出てくんだもん、気になっちゃうじゃん」
「ね」という服部さんのわざとらしい声に顔が真っ赤になる。
「顔赤いよ♪ほんと恋に迷える子猫ちゃんはかわいいね」
「か、からかわないでください」
「ほんとのことじゃん」と頭をぐしゃっとされると何も言えない。
堪忍してあたしが「うぅ…はい」と答えるのを見て服部さんはクスクスと笑っていた。
「ま、幸せな悩みって感じではなさそうだけどね」
「え…」
服部さんは笑ってるように見えていたけど、目つきは真剣そのものだった。