不良だらけの危険なバイトッ☆

「あのね加奈子、お兄ちゃんのことが世界で1番好き」


「バカなこと言うなよ」


「ほんとのことだもん」


ぎゅっと俺にくっつく加奈子は、俺よりも何も知らないくせにきらきらした目をしていて。


天真爛漫なやつだったよ。


だからこそ…。


「こんなに借金作ってどうする気?」


「はあ、うるせえんだよっ」


ガシャーンッ


母親の言葉にキレた親父が、棚を蹴り飛ばす。


「そうやって物に当たって、あたしにはあんたに渡すお金はもうないから!!」


「ふざけんじゃねーぞ!!」


怒鳴った親父は大きく拳を振り上げる。


「お兄ちゃん…怖い」


人一倍感受性も強い加奈子は、毎日毎日すごく怖がっていた。


震えて俺にしがみつく。


「見ちゃ…だめだ」


でも俺は…、涙に濡れた加奈子の目を塞ぐことで精一杯だった。


俺にできることなんか何もなかった。

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