純血のヴァンパイア
「ハッ、ハッ…放って、おいて、くれ…ゴホッゴホッ…」

弱々しく、私の手を振り払おうとする雪兎。

「ダメよ。無理しないで。」

彼の顔を見ようと覗き込んでみると

今朝見た青白い顔は、更に具合悪そうに真っ白になっていた。

額には油汗を浮かべ、苦しそうに息をしている。

ちょっと、ゴメンね。

額に掛る前髪をそっと払いのけ、そっと額に手をあててみる。

――ッ、熱い・・・こんなに熱があるなんて気が付かなかった。


「蓮、燐」

「俺が保健室に連れていく。」

「俺、担任に知らせて来る。」

私の言いたい事が分かったのか2人とも直ぐに動いてくれた。

「蓮、私も一緒に行く。」

ぐったりとした雪兎の身体を、蓮は軽々と背負い

屋上を後にする。
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