カゲフミ(短編)
もうすぐ、
相良の影は見えない所まで遠くなってしまう。

追いつく、とかそんな次元を越えて。

それはちょっと、寂しいなぁ。
「未来だとかに、長峰がいれば楽しいだろう、って俺は思うけどね」


三年間聞いていた声がそんな事を呟いた。あたしはまじまじと見返す。

「…そんなに見ないで欲しいけど」
「それってマジで言ってる?」

「あー、あー、…これが、マジじゃなく見えますか!!」


真っ赤になりながら、あたしを見る相良はいつもより少し情けない。
でも、

「やっぱりカッコいい」


あたしは独り言の様にそう呟いて、踵をあげて相良にに顔を近づけた。

「…」


ぽかん、とあたしを見ながら相良は言った。

「ありがとうございます」

その返答にあたしは笑ってしまった。
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