紺碧の海 金色の砂漠
「命には別状なかったのだけど、被害者が出てからでは遅い、と陛下が違反者の逮捕を命じられたのです。その代わり……」


レイ国王は国民の前で迂闊な行動を謝罪し、今後は厳しい対応を取ると宣言した。

テレビの特集で見た覚えがないのは、そのせいかも知れない。


但し、丸っきり禁止にするのではなく、毎月一回エントリーを受け付けた上で“プロポーズタイム”を設けたのだ。

そこでめでたく婚約が成立すると、国籍問わず国内の好きなビーチでハネムーンを過ごせる宿泊券がプレゼント! というのだから、なんて太っ腹な国王だろう。


「国力に比べて国民数が少ないから、結婚・出産を奨励するいいきっかけになりました」


そう言ってクリスティーナはミシュアル国王と話す夫の横顔をチラリと見た。

ヘーゼルの瞳が少し翳り、舞は少しだけ違和感を覚えたのだった。


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